先島諸島・島つぶしの旅-5
宮古島に1晩延泊し、いわば延長戦の本日。
お天気は勿論冴えません。うん、完全に雨男通常モードです。
さて、完全フリーの本日のテーマは、
「10島行ったんだから11島目を目指そう。それもタクシー抜きで。」
お馬鹿というか、我々らしいというか…。
まずは送迎バスで空港へ。ロッカーに荷物を押し込み、1時間後の路線バス(協栄バス)で平良を目指します。
今日はお客さんが居ました。
中心部に接近した「北給油所」なる停留所で下車。
交差点も同じ名で、島にガソリンスタンドが数軒きりだった時代が偲ばれます。
10分ちょっと歩くと、宮古島北部をカバーする八千代バスの平良ターミナルに到着。
ターミナルと言っても、路線は池間行1本だけ。実態はタクシーと共用の駐車場です。
地元のお婆ちゃんを乗せたマイクロバスは放送もせず淡々と走り、所要20分、島尻入口で下車。
岬の基部を横断する形で20分ほど歩くと、一昨日車で通ったパントゥーンの里、島尻。
商店は購買所1軒のみ、という小さな集落を抜けると漁港にたどり着きます。
本日の目的地は大神島、島尻から船で15分の小島です。
10名ちょっとを乗せた船は、さして揺れず大神島着岸。ここまで3時間、自力で観光するって大変です。
桟橋には、今朝ガイドをお願いした島民の方が。と言っても、自力観光が面倒になった訳ではありません。
大神島は今でも民間信仰が息づく神秘の島。
部外者が立ち入れない場所や、島民でさえ近づかない森が木々を深く生い茂らせています。
つい近年小さな民宿が出来るまで、観光客が島で宿泊する事さえ許されなかったとか。
そんな特殊な土地ですから、無闇に歩き回るよりはガイドに頼もうと考えた次第。
島のHPにはお2人の連絡先が載っていますが、もうひと方も他の観光客を案内されていました。
それにしても、公式の連絡先が個人の携帯電話って、とんでもない島です。
もちろんガイドを頼まなかった観光客も居ますが、船から降り立つなり祠に跪くなど、勝手知ったる様子。
どこか思い詰めたかのような、スピリチュアル雰囲気をまとった1人旅の女性も居て、やはり不思議な島です。
さて、船を降り集落の入口にまず現れるのが、小中学校の跡地。
数年前まで姉弟が通っていましたが、姉の中学卒業を機に家族で宮古に移住。
2年前に正式に廃校、校舎も取り壊されて今は敷地の片隅でシャコガイの養殖が行われています。
現在、大神島の人口は26人。一番若い人でも50代。
細く延びる登り坂の両側には、家屋や畑と混じって荒れるに任せた空地が…
そんな寂しい集落を抜けると、遠見台への登り口が現れます。祭祀の際は、この先立入禁止。
今は立派な階段が設置されていますが、元はロープを頼りに岩肌を登ったというハードな道筋です。
頂上は絶好の展望台ですが、傍らの大岩の前にはひっそりと賽銭箱が置かれていました。
大神島の祭祀は、山中の御嶽(うたき)で島の女性達により行われます。
男子禁制。小屋を作るため神様にお断りして立ち入ったのが唯一の例外事例だとか。
ガイドさんのお母様も祭祀に参加されたそうですが、曰く、
「事前に言われた訳でもないのに、ある朝真っ青な顔をしていたところへ迎えが来た。」
真っ暗な山中を平然と進み、教わってもいない歌を唱える。彼女達は生涯肉も魚も口にしません。
何とも謎めいたこの祭祀、かつては宮古島側の集落も参加していましたが、大半は廃れてしまったそうです。
大神島にとって神様は、伝統芸能でも都市(…じゃないか)伝説でもなく、今も敬意と畏怖の対象。
神様の通り道だからと護岸が一部削られたり、怒りに触れるのを恐れ道路建設が頓挫したりします。
一周道路中断地点より、静かに海を望む。
…というか、あれ?晴れてきた?晴れてるよね!
晴れてます。
相変わらずのどんより曇り空、のはずだった天気予報どうなった?本当に当たらないんだ。
最終日にきて、まさかまさかの本格的な晴天です。
どうだっ!(威張るな)
ようやくの文句なしの好天に、テンションは爆上げ。
午後はシーサー制作体験の予約をいれてありましたが、屋内にこもるのは勿体無い。
船の上からキャンセルの電話をして、島尻港へ呼んであったタクシーに「池間島までっ!」と告げます。
一昨日も行った島ですが、天気が違えば見る景色も違ってくるはず。
どうか見比べて頂きたい。
どうだっ!(だから威張るな)
ところで池間島って何があるんだっけ、とガイドブックを必死に探してグラスボートを発見。
タクシーを降りると、上手い具合に出航間近でした。
港の近くでぷかぷか浮かぶ程度かと思いきや、全速力で沖合いへ突進。
池間大橋をくぐり、大神島を目前にしたサンゴ群落までかっ飛ばします。
思い起こせばグラスボート、初日に石垣島でも乗ったわけですが、どうか見比べて頂きたい。
どうだっ!(しつこい)
ぐるりと見渡せば、筆舌に尽くしがたいほどの青い海。
水深によって異なる輝きを見せていますが、どれも本当に美しい青です。
これだ、この光景を見たくて沖縄に来たんだよ。延泊して本当に良かった!
大満足で船を降り、路地の折れ曲がる池間集落を当てもなくウロウロ。
さらにサトウキビ畑の中へ。
旅はいい…。
存外近付いても物怖じしないこの鳥、はて名前は?
バスで平良まで戻り、土産屋を物色。くまモンの宮古島バージョンなんてあるのか。まもる君危うし!
写真館店頭の成人式写真の派手さに驚いたり、スーパーのカチカチの米袋(輸送用に空気を抜いた?)に目を丸くしたり。
街を歩くだけでも、色々と発見があります。
名残は尽きませんが、とうとうお時間。締めも路線バスで空港へ向かいます。
夕食は、またまたタクシー運転手さんオススメの宮古そば。
羽田までは直行便でひとっ飛び、所要は2時間半。
もっともこの日は帰省ラッシュの影響か、羽田を間近にぐーるぐると旋回。
「あと15分で着陸態勢」とか言ってからたっぷり30分以上かかった気が…
ようやく到着すれば、ボーディングブリッジの時点で寒い寒い。
「沖縄帰りたい〜」がしばらく2人の口癖になりそうです。
5日ぶりの電車。すぐ来た京急線に乗り込めば、なんとコレが自宅への終電。危ない所でした。
いやはや、たっぷり遊び尽くしました。月並みですが、楽しかったですなあ。
こんな旅に付き合って喜んでくれる、相方にも感謝感謝です。
そんな相方は、明日は早起きして有明。
タフだな君…。